どうにもこうにも埒が明かずに。

貝はその口を閉ざしたまま。

まだ掌の上

世界一だ。かっこよかった。ただそこにいてくれるだけで幸せだった。弦が切れて焦りの色を滲ませた。目を合わせずに相方とハイタッチをしていた。チューニングを合わせるために俯くと顎を伝って汗がぼたぼたと落ちていた。生きているんだ、と、当たり前のことに感動した。

「君をさらうぜ」という歌詞に合わせて、笑顔で右手をぴんとまっすぐ前に伸ばし差し出していた。間違いなく私のヒーローは彼だ。街も、世界も、私の心も、なにもかも全てをひっくり返してぐちゃぐちゃにしてめちゃくちゃにしたら最後にさらってくれるのは彼だ。泣きたかったけれど我慢した。それでも涙は溢れた。感情をコントロール出来る人間になりたい。

フロアを隅々まで見渡すその目が好きだ。見開いて、細めて、見つめて、逸らして、濃い黄金色の瞳がくるくると表情を変えて、いつでもどこかの誰かを見ている。そして不敵に笑って妖しく手招いて自分たちの餌食に。獅子座はいつでも飢えていて、狩りはどこまでもしなやかで狂っている。どれだけ喰らい尽くしても満たされやしないみたいだ。もうぜーんぶ食べてくれちゃっていいのにね。彼の胃袋がこの世界のなにもかもでいっぱいになりますように。それでも、きっと満足はしないんだろうな。

別にメンがヘラってる訳じゃないんです。いや、実はそうなのかも。2週間ぶりに見たお姿があまりにも尊すぎて脳がバグってる。「すごくキラキラした顔で見てたね」と終演後ある方に言われた。そりゃあ、プリキュアを応援する幼女の目はいつでも輝いているものでしょう?小さい頃セーラームーンショーを見に行って、こちらに迫ってくる悪役が恐ろしくて仕方なかったのだけれども、それをセーラーマーズが助けてくれた事を思い出した。今の私ならもしかしたらその悪役の手を取っているのかもしれない。だって惡の道は惡、だ。そしたら白くてふわふわのゆめかわプリキュアが助けにきてくれて、君の進むべき道はこっちだよ、ってさらってくれて、信じて着いていくとそこにはもっととんでもない惡道が。実はプリキュアとは仮の姿、本当は惡の組織の幹部だったのだ!少しだけ肩幅広めの。

というところまで考えて帰宅。おうちに帰るまでが遠足だとは今日は言われなかったので、まだその途中だと夢を見てもいいですか?