どうにもこうにも埒が明かずに。

貝はその口を閉ざしたまま。

和を乱しちゃだめだ

高校の入学式にすら遅刻するような生き物に「和」なんて目に見えないなあなあの繋がりなんて訳が分からないんです。好きな物事を好きと言うとだいたい「和」が乱れるコミュニティの端っこにいたもので。

吹奏楽部だからという理由で中学では合唱コンクールの指揮者に選ばれてしまった。誰も何も言わないから「先生」に1人ずつ誰が指揮者に相応しいかなんてクソみてえな質問をしていってその1人ずつが「私」の名前を挙げてしまうから全員ぶん殴ってやろうかと思った。ああいうのってだいたい最初の1人がぽろっと出した答えを右にならえで真似していってしまう。そこで違う答えを出すとだいたい周りから白い目で見られてしまうから。その全員のだいたいで私は体育館のステージの真ん中に立ってしまう事となるのだ。マジで全員ぶっ飛ばしてやりたかった。合唱コンクールの練習で体育館で、指揮者の真似事をしてその他大勢に向かって礼をして顔を上げたら目の前で他のクラスの友達が体育座りをして私を見ていた。目の合った二人が笑ったから私も笑った、そうしたら横から笑うところじゃないって先を生きる方々が口を挟んできて。笑顔に笑顔で返して何が悪かったんだろう。多分その頃から私は目つきが悪いと言われ続けてきた。だって笑っちゃイケナイんでしょう?それなら私は笑わない。友達に笑いかける事も許されないのであれば。そのまま年をとって社会人と呼ばれるカテゴリに所属して、いつも通りいつもの仕事をいつもの顔でこなしていたらずかずかと上司のヒステリー女が近寄ってきて「斉藤さん何に怒ってるの?何か文句があるなら言ったらどう?」って金切り声で問いかけてきた。全く無の気持ちで包丁を握っていた訳で、雑な細切りになったにんじんが散らばるのを見ていた。「いや、怒ってないですけど」と答えたらヒステリーはまたなにかぎゃんぎゃん喚いて、ああ、私って「和」を乱す生き物なんだなと思った。呼吸をしているだけで誰かの神経を逆撫でしてしまうのか。そう考えたら悲しくなって、ただすみませんと呟いた。ひたすらに悲しかった。私がこうなったのはいつからだろう。合唱コンクールの前からそうだったのかもしれない。ずっとずっと「和」を乱す生き物として人々から隔離されなければいけない存在なんだろう。

彼らに救われたとか、もうそんな簡単なこと言いたくない。「和」を乱す「はみ出し者」である私の死に場所。全て受け入れて背中を叩いて笑ってくれるのは誰でもない彼で、彼らで、あの人なんだ。

 

全てを捨ててどこかに行ってしまいたいって、叶えてくれた。

授業では教わらなかった歌がなんか響いた。